異文化マネジメント

海外展開を目指し、さらに踏み込んだ現地事情を理解したい

Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。

当社では、今後海外ビジネスを開始する目標があり、現地視察や最新ビジネスの情報収集を進めてきました。しかし、実際に海外展開するにはさらに踏み込んだ現地事情を理解する必要があるため、進出の可能性があるASEAN地域からマレーシア人インターンを受け入れることにしました。ものづくりを通して日本人社員とコミュニケーションを取り、マレーシアの文化や現地情報を教えて欲しいという期待はありましたが、どんな活動をしてもらうかよりは、まずは自社に来てもらい、社員とお互いに学び合ってほしいと思っておりました。

インターン本人の経験を踏まえ、一緒にインターンの成果を考える

Q.どんなインターンシップを行いましたか？

インターンシップ計画を決めるにあたって、まずは今までの経験や今後の展望を話しました。インターンの経歴としては、富山大学への留学経験があり日本語は堪能、マレーシアでエンジニアとしての実務経験もある方でした。対話を重ねる中でインターンシップ終了後のキャリアも一緒に考え、「設計ができ、提案力を持ったテクニカルエンジニア」として目指すことを提案しました。今後のキャリアを見据えて帰国後も経験が活かせるよう、インターンが設計を担当し社員と力を合わせて簡易な装置を製作することをインターンシップ期間の目標にしました。インターンの生活面では、ハラール食品が必要であると知り、はじめは戸惑いました。ハラール対応している料理屋を紹介してもらったり、近くの業務用スーパーでハラール食品が入手できることを調べたりして解決していきました。また、事前研修で「異文化間の考え方の違いやトラブル回避のためのコツ」を学んだことを活かして、日本的なコミュニケーションではなく、あえてストレートに話をするように心がけて接しました。

日本と自社に習熟した人材であるインターンと海外でのビジネスパートナーとしての連携していきたい

Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか？

一つ目の成果としては、海外人材とのネットワーク強化を図れたことです。彼がインターンシップをしていることをきっかけに秋田大学に留学しているマレーシア人と知り合いました。彼らが研究上直面している課題に対して長沼製作所の技術で対応できるのではないか？と興味を持ち、当社の生産現場を見学してもらうことになりました。これにより地元大学との産学連携のきっかけになりそうです。二つ目の成果は、異文化受け入れの風土を醸成できたことです。例えば、毎年恒例の忘年会は一般的な居酒屋で行っていましたが、今年はマレーシア人とも一緒なのでハラール対応のあるネパール料理屋で開催しました。これは当社50年の歴史でも初めてのことです（笑）。最後に、当初は「日本で就職したい」と言っていたインターンですが、活動を共にしていく中で、将来的にはマレーシアで日系企業に強い設計会社を起業したいという思いに至り、パートナーとして連携していけるような関係が築けました。日本と当社に習熟した海外人材と連携できれば、当社の海外展開への確実な一歩となります。