新規ビジネス開発・イノベーション

大正時代から100年続く老舗餅店に外国人の発想を取り込みたい

Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。

当社は、今までの一般的な日本企業の働き方ではなく、主婦やシニア、働き方改革にかなり前から取り組んできたことで、優秀な人材が集まってきたという成功体験があります。また、若者の食文化の変化で餅を日常的に食べる人が減ってきており、新たな市場の開拓が必要だと考えていました。外国人インターンの受け入れは初めてでしたが、当社のような北九州の老舗餅店で外国人が餅ビジネスに関わることで、新しい発想も生まれ、新たな市場の開拓やビジネスに結びつくと考えてこのプログラムに応募しました。

「シナモン」＋「お餅」のアイデアを形に！
文化の壁を越えて地域との交流にチャレンジ

Q.どんなインターンシップを行いましたか？

インターンにまずはお餅の製造方法を学んでもらい、その後マーケティング・新商品開発・包装デザインに取り組みました。健康に良いといわれるシナモンを使った「シナモン餅」のアイデアを出し、何十回も試作を繰り返し、商品化まで進めてもらいました。また、当社売上40%は、近隣住民やお寺・神社や公民館等、地元エリアで占められているため、地域との交流がとても大切です。特にお餅を納める時のコミュニケーションは非常に重要で、インターンもそれを理解して、ご近所に住む方の誕生日に自らおこわを作りペルシャ語で「おめでとう」のカードを添えて届けたり、地域のお祭りの手伝いをしたり、積極的に地域との交流に努めてくれました。インターンは日本語が全くできなかったのですが、言葉を越えたコミュニケーションで確実な信頼関係を築いていきました。生活面ではホームステイで、私の家族と一緒に生活したのですが、彼女はイスラム教徒のため、「男性と握手する」、「男性の作ったものは食べられない」など制限がありました。当初は細心の配慮が必要でしたが、文化を学び合い、信頼関係を築くことで、日常に溶け込むことができ、文化の差異を乗り越えられたと感じています。

新商品の販売、新規顧客の開拓、社員の意識改革により前年比250%の売上拡大に

Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか？

受け入れた効果は期待以上でした。インターンの明るい性格や日本から学ぶ意欲が顧客・地元地域との交流につながりました。さらに『高石餅店に来ると外国人が考えたユニークなものが食べられる』というきっかけも作れ、大きなPR効果が得られたと実感しています。今までは固定客への販売のみでしたが、インターンからの提案や積極的な働きかけにより、社員も新しい顧客を開拓しようという姿勢に変わり、会社全体の意識改革に繋がりました。またインターンの考えた新商品が新聞に掲載、テレビで番組放映されたこともあり、今まで来なかった男性客や口コミで買いに来てくれる人などが出てきたことで、売り上げは前年比250%になりました。さらには、福岡大学でのインターンによる講演も大好評で、当社で働きたいと思う学生が出てくるなど、採用広報としても大活躍してくれました。