外国人が安心して働ける環境作りのために

Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。

当法人がある地域は、高齢化や過疎化が進み、介護職員の人材確保に苦戦しておりました。EPA（経済連携協定）だけでは充分な職員確保は難しく、今後は留学生や技能実習生にも門戸を広げるべきと考えていました。そのために、外国人の方が安心して来日し、働ける環境を作りたいと思っていました。介護人材を雇用するための環境・体制作りのために、外国人から意見がもらいたい、そう考えてこのプログラムに応募しました。外国人の介護スタッフが増加すると、文化・習慣の差によるトラブルが発生することも考えられるので、それに対応できるように準備したいという目的もありました。

外国人目線の意見・提案を活かし
今後の運営に役立つ資料を作成

Q.どんなインターンシップを行いましたか？

まず当施設について知ってもらうために、マニュアルなどを確認しながら、理解してもらうことにしました。その活動の中で、ちょうどその頃、発生していたノロウィルスに対する初動マニュアルを日本語・英語併記バージョンで作成するようお願いしました。使用する写真を日本人スタッフが撮影し、インターンに渡したのですが、インターンはそれを見て、「これでは伝わらない」と外国人目線で撮影のやり直しを提案してくれました。出来上がったマニュアルは、とても細かな所にまで注意が行き届き、外国人スタッフにもわかりやすいと好評でした。さらに、外国人スタッフの教育のために、事故発生時の対応フローチャートやノロウィルスやインフルエンザのマニュアルも作ってもらいました。また最終的には、ベトナム人向けに当施設の説明ビデオを作成してくれました。このビデオは、今後ベトナム人材の求人活動に実際に活用する予定です。

これまでの体制に不足していたものに気づき、
外国人材と一緒に働くために必要な姿勢を学んだ

Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか？

最大の成果は、外国人と共に働くことに関する日本人スタッフの意識改革です。当施設は、これまでも外国人を受け入れるのに積極的で、それなりの対策を行っていると考えていました。しかし、今回のインターンシップを通じて、私たちは「外国人にも、この施設のやり方に従って仕事してもらう」という姿勢で、外国人が働きやすい職場作りという視点を持っていなかったということに気づかされました。教育方法も資料も、日本人が日本人視点で作成したものに過ぎなかったのです。インターンの指摘で、例えば、フローチャートの記号の意味が外国人にはわかりにくいこと、作業手順を教える際にその手順の意味を伝える必要があることなどに気づくことができました。インターンが活動中私たちにくれた提言は、今後の外国人スタッフの採用・教育に有益なものばかりでした。