インターンシップを通じて、
日本の伝統産業を世界に発信したい

Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。

福井県越前市は、京都と金沢の間に位置している歴史の古い町です。また、狭い地域に伝統産業が集積している世界でも数少ない地域でもあります。しかし、この20～30年間で人口が減り、以前は多様な商店でにぎわっていたこの町も、すっかり静まり返ってしまいました。「地域をもっと元気にしたい」、そして「外国人にも、ここ越前市のよさを知ってもらいたい」、そういった思いから、昨年当社を立ち上げました。民泊事業の立ち上げ推進と地域の伝統工芸品の輸出販売を、主なビジネスとして掲げ、越前市の魅力を国内外に発信するための様々な活動を検討してきました。そのような中で、新規ビジネス、インバウンド事業を促進していくために、外国人の意見をぜひ取り入れたいと考え、このプログラムに応募しました。

外国人ならではの目線で、越前市の魅力を国内外に発信

Q.どんなインターンシップを行いましたか？

3つのことをメインにお願いしました。1つ目は、職人の手仕事を紹介する動画を作成し、母国インドネシア向けに情報を発信してもらうことです。そのために、まず、越前市の伝統産業である、刃物・和紙・越前塗りなどの工房で、制作体験および取材を行ってもらい、動画を作成してもらいました。2つ目は、越前市の英語版観光マップの作成です。外国人ならではの目線で、絵や写真などを使い、越前市の魅力をわかりやすく伝えることができる、非常に満足度の高い、素晴らしい出来栄えのマップを作ってくれました。ハラール食にも精通している方だったので、3つ目として、ムスリム旅行者の方への食事配慮を考えた「日本式ハラール食レシピ」を作成してもらいました。まだ日本人に馴染みのないハラール食を、越前市内のホテルや民泊事業者の方々に知ってもらいたいと考え、レシピ作成に企画段階から取り組んでもらいました。このレシピのお披露目会には、市役所職員をはじめ、地元メディアなど約30名の方が集まりました。

今までの足踏み状態から脱出
来年春には民泊事業をスタート！

Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか？

以前は伝統産業を営む工房に、アポイントを取ることすら難しかったのですが、当社が「経済産業省の事業で外国人インターンを受け入れている」という噂が地域で広がり、市役所やまちづくり会社の方が協力してくれるようになりました。その結果、工房とのアポイントを取ることもスムーズになりました。それだけでなく、今後のビジネスの中心にもなるべき「民泊計画」も、市役所から紹介を受け、古民家を活用して、早ければこの春にもスタートする予定です。これらは当社にとって本当に大きな前進となりました。また、インターンは、誰に対しても垣根を作らず、地域の方々とも積極的に交流してくれました。そのおかげで、職人の皆さんとも打ち解けることができ、当社と彼らを結びつけてくれました。その職人の方々の協力を得て、伝統工芸品の制作体験プログラムを組み入れた、外国人誘致のためのインバウンドツアーも、来年夏には実現を見込んでいます。2ケ月半という短期間ではありましたが、インターンのおかげで、民泊および伝統工芸品の輸出販売における売上拡大、さらには地域活性化の足がかりとなりました。