才能あるナイジェリアインターンとの協働と、
異文化コミュニケーションから見えた社員の成長と新たな発見
株式会社カワタテック
奈良県/製造業
オルワトビロバ オルワゲンガ ロクロソディペ
ナイジェリア/イバダン大学 電気電子工学部
日本企業が直面する課題と、多様性取り入れへの挑戦
- Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。
- 弊社は奈良県で工作機械の一部である旋盤用チャックなどの機器の製造と、製品の国内外へ販売を行っている会社です。工作機械産業は輸出比率が高いこともあり、外国人材と現場の日本人社員が連携することは非常に有益であると以前より考えておりました。
また、日本国内の人口減少に伴い、多くの企業や業界と同様に、弊社でも優秀な人材の新規採用が難しくなってきており、将来的には、ますます人材の確保が難しくなると予想されます。この課題の対応策として、人材の多様性を進める必要があると感じていました。
その中で、外国人材採用も一つの方向性として検討はしていたものの、私たちはまだ外国人材と協業した経験が一切なく、いきなり外国人材採用に挑戦するには、あまりにもノウハウが不足しており、非常に高いハードルでした。そこで、外国人材との協働において、どのような問題点や利点があるのかをまずは経験することが先決と考え、あらかじめ期間が設定されているこのインターンシッププログラムに応募しました。この事業については以前より知っており参加を検討したこともありましたが、今回意を決して初めて参加することにしました。
異国の才能と共に築く開発プロジェクト。
成功のカギはチームビルディング
- Q.どんなインターンシップを行いましたか?
- インターンのTobiさんは、電気系統開発に関する分野を専攻されていたので、社内で潜在的に課題となっていた組み立て工程の検査で使用する社内治具(トルク測定装置)の改修を中心にインターン活動を計画しました。
また、彼の知識を社内で活かしながら、多様なメンバーが協力して活動を進めることで、社内にどのような効果が生まれるのかを検証したいとも考え、社内メンバーと共同で開発を行うプロジェクトの実施を決めました。彼には、特に通信や画面表示機能部分の開発に取り組んでもらいました。
この目的を達成するため、まずは互いに理解を深めて、社員との活発なコミュニケーションを促したいと考え、Tobiさんの母国であるナイジェリアや、彼自身について説明してもらう機会を設け、我々からも社内の各部門の業務内容などを複数回にわたり説明し、コミュニケーションの基盤を築きました。
初めの段階では、会議などの場だけでなく、私自身ができる限り頻繁に声をかけ、他の社員も気軽に話しかけやすい環境を整えるよう心がけました。そういった取り組みを進めることで、 開発プロセスでも、メンバー間で設計や数値の修正などの具体的な打ち合わせが重ねられ、改良が進み、徐々に試作品が形になっていきました。
インターンとの異文化コミュニケーションの中で見えた
社員たちの新たな一面
- Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか?
- トルク測定装置の開発は、2か月間という短期間でありながら、実装できる段階の試作品まで仕上げることができ、素晴らしい成果を残してくれました。また、初めての環境の中でメンバーと協働をしながら、何でも積極的に学ぶ Tobi さんの姿勢に非常に感心しました。もともと社内では英語を使用する機会が少なかったことから、当初は社員が英語でのコミュニケーションには消極的かもしれない、と予想していました。しかし、実際には多くの社員が積極的に英語でコミュニケーションをとっており、社員の新たな一面を発見できました。一方で、安全上の観点からもプログラミングをメインとした活動を実施したため、工場内の社員とコミュニケーションを頻繁にとることは難しく、今後の外国人材採用を見据えて考えていくべき課題があることも確認できました。
今回のインターンシップを通じて、社内の変化だけでなく、私自身にとっても、国籍を問わず社員が生き生きと働く環境がどのようなものであるべきかを考える良い機会となりました。最初は Tobi さんと社員の英語のみでのコミュニケーションを心配しましたが、今回のインターンシップを通じて、彼の柔和で親しみやすく、社交的で明るい性格にも助けられ、たとえ英語しか話せない人材でも一緒に活動を進めて成果をあげることができ、また、ある程度のコミュニケーションも取れるという自信を得ることができました。
技術と文化の交差点:日本企業でのインターン経験を武器に、新たな世界への挑戦
- Q.インターンシップで得られたことを教えてください。
- このインターンシップを通して、まずは何より日本の中小企業の重要性を感じることができました。開発から製造まで一貫して自社で運営する過程や、その社内技術の高さを目の当たりにすることで、技術開発革新の重要性を認識し、日本ならではの商習慣を交えた業務の進め方について知ることができ、視野が広がりました。特に、製造業における IoT の応用は、今後さらに重要なものになると感じており、今後の自身のキャリアパスにも大きな影響がありました。
そして、受け入れ企業での活動以外にも、実際に日本で過ごすことで、季節の移り変わりや、歴史ある寺院などその全てが息をのむほど美しく、同時にユニークであり、その両方を経験できたことに非常に感謝しています。総じて、このインターンシップはスキル面の成長だけでなく、文化や人に触れることで内面の部分でも成長できたと思います。
この活動を通じて自国と日本のビジネス文化の違いを経験するとともに、お互いの異なる側面を尊重し、適応することの大切さを学びました。日本企業で得た多くの経験をもとに、今後どのように自分が役に立てるかを考え、母国を超えて世界で活躍するために、挑戦し続けていきたいと強く思います。