新技術の事例調査・アプリ開発の協業経験を通じた、
農業分野×IoTにおける高度外国人材との新たなイノベーション
株式会社農社
兵庫県/農業・林業
アシュトシュ シュクラ
インド/琉球大学院 理工学研究科 総合知能工学部
グローバルな視座での
農業技術の動向・生産現場の事例調査の実施
- Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。
- 弊社は兵庫県で2021年に設立した農業系のスタートアップ企業で、農業コンサルティングや研究開発を中心に事業を展開しています。特に研究開発においては、日本の農業技術は世界で通用すると考えており、今後のビジネスチャンス拡大を見据えて海外の事例調査も行っています。
農業は、工業などとは異なり、気候や土壌、農業従事者数など地域性が強く影響される業種です。現在日本国内で普及が期待されている「スマート農業」は、ロボティクスやIT、AIなどが積極的に導入されていますが、国内だけでなく海外の事例から得られる知見にも非常に価値があると感じていました。
そこで、高度な知識や技術を持った外国人材との活動を通して、弊社が取り組むスマート農業技術を海外の視点から把握し、農業コンサルティング業務を農業以外の分野を専攻している方が参加した場合、どんな成果がでるのか?見てみたいという思いがあり、この事業に応募しました。そのほか、弊社のアプリケーション開発などに外国人材が携わっていただくことで、どんなシナジーが起きるのかも検証したいと考えていました。
農業分野における新技術の事例調査から、アプリ開発まで。
インターンの得意分野を活かし、知識と技術で幅広く活動
- Q.どんなインターンシップを行いましたか?
- インターンには、海外での農業に関する新技術の事例調査・レポート作成と、新規農業アプリ開発(害虫予察アプリ)の大きく2つの活動に取り組んでいただきました。
特に、アプリ開発においては、要件定義から開発方針の検討、実際の開発に至るまで広範な業務に携わりつつ、導入フェーズではインターンが自ら率先して開発に従事し、この新規事業の円滑な展開に向けた基盤を築いていただきました。
活動面で工夫したポイントとしては、まずはインターンのAshuさんの専門分野や関心、スキルを総合的に考慮し、複数の新規事業候補から最適なプロジェクトを選定しました。また、自ら主体的に取り組んでもらうことで一定の責任を感じてもらえるようにしました。コミュニケーションでは、インターンは国内の大学院で博士課程に在籍中で忙しいスケジュールでしたが、こまめにやりとりをすることでミスコミュニケーションを防ぎ、適切なタイミングで相談をしながら進めることで、柔軟に活動に取り組んでいただくことができました。
優秀な高度外国人材との協業を通して、グローバルな
視座を学び今後の事業拡大の可能性が広がった
- Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか?
- アプリ開発は、活動期間中にリリースまでには至りませんでしたが、大まかな要件定義などを完了できたことで、
この開発中アプリをベースに、新しいステップに進むきっかけとなりました。
今回、この事業には初めての参加でしたが、成果に非常に満足しています。インターンがとても優秀で海外事例の成果レポート作成も達成することができ、且つ学術的な発表にも使用できるほどの品質でした。また、アプリ開発に関しても早期に計画が進み、その後の開発方法についても共同で検討することができました。
アプリ開発時、インターンは広範なコネクションを活かしながら、分からないことにはオンラインリソースを活用し、友人や知人からも積極的に情報を得ながら活動をスムーズに進めていました。この柔軟で協力的な関係性は、私だけでなく社内のメンバーにとっても非常に興味深いもので、有意義な経験となりました。
農業分野では、多くの技能実習生が活動していますが、高度人材が活躍できるということはまだまだ知られていないと感じます。特に、今回のインターンのような優秀なIT人材は、農業が盛んな地方の地域では圧倒的に不足しており、今後力強い農業生産基盤の確立だけでなく、スマート農業をさらに推進する上でも、高度人材、IT人材が地方で活動することは極めて重要だと感じました。これまで外国人材を採用した経験はありませんでしたが、今回の活動成果を通して、今後は外国人材との協業や採用を積極的に行いたいと考えています。
未来の種を、インドの畑へ
インターンシップで築いたスマート農業の架け橋
- Q.インターンシップで得られたことを教えてください。
- このインターンシップでは、主にスマート農業とコンサルティングを中心とした専門的な知識と経験を得ることができました。特に、最新の農業テクノロジーに触れ、ドローンやロボットを活用した実務スキルを磨く機会があり、
これらの技術が農業分野にもたらす変革的な可能性に深い感銘を受けました。
プロジェクトに関連するアプリケーション開発を通じて農業コンサルティング分野におけるマーケティング分析力、プログラミングとアプリ開発スキルを伸ばすことができました。また、クライアント対応の過程を間近で見学・同席する機会に恵まれたのもスタートアップだからこそだと思います。その中で、活動当初は日本式の挨拶や立ち振る舞い、会話の仕方など、初めてのことで苦労もありましたが、奥野さんがサポートしてくれたことで適切なエチケットを学ぶと共に、何よりも日本ならではの心配り・察する文化だからこそできるビジネスの提案力などを直接肌で感じることができました。
これらの経験を活かし、今後はインドだけでなく世界規模で各国の農家を繋ぎ、IT技術を通した農業分野のイノベーションに貢献していきたいと考えています。農業は他の多くの産業ほど急速に進歩していないものの、例えばデータ分析やドローン・センサー技術を活用した作物の収穫量の最適化や、小規模な土地での生産量の向上など巨大な可能性を秘めてると感じています。
このインターンシップに興味のある方は、ぜひ自身の普段の「快適なゾーン」から一歩踏み出して、新しい世界への挑戦をしてみてほしいです。