ベトナム子会社の本格始動に向けて
教育・指導の現地マニュアル作成を進めたい

Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。

当社は、徳島県産の農作物を原材料にした菓子製造販売を行っており、2017年ベトナムに子会社を設立しました。本社社員が現地に出向きベトナム人スタッフの教育・指導にあたってきましたが、限られた期間と人員ゆえに思うように効果が上がっていない状況でした。日本と同等の衛生管理・品質管理を実現するには、ベトナム人が考える「ベトナム人スタッフにとって、わかりやすいマニュアル」を確立する必要性を感じていました。そこでベトナム人のインターンを受入れ、作業の目的や方法が伝わるマニュアル作成につなげようと考えました。例えば「手を洗う」という作業も翻訳するだけでなく、ベトナム人の価値観や思考に沿った文章を加えることで、効果的な指導・教育につながります。また、ベトナム向け商品開発のアドバイスや、本社社員がベトナム人と接することでベトナム子会社への関心が高まることを期待し、応募に至りました。

製造から販売まで仕事の流れを理解し、
マニュアル作成や商品開発の提案につなげる

Q.どんなインターンシップを行いましたか？

マニュアル作成に先立ち、４つの業務（製造業務、品質管理、商品開発、営業企画）を体験してもらいました。その経験をもとにマニュアルと専門用語ブック集の作成・翻訳に取り組んでもらいました。製造・品質の工場体験では、入室手順、検査、効率的な生産方式、声かけやコミュニケーションの大切さを説明しました。専門用語を伝えることに苦労しましたが、インターンに理解してもらうことがベトナム子会社のスタッフの理解につながるので、時間をかけて正しく理解してもらえるように努めました。商品開発では、新商品の試作に立ち会い、味、匂い、パッケージ、値段についてベトナム人目線で感想や意見をまとめてもらいました。営業企画では、販促・営業資料の翻訳、県内の大学インターンとハロウィンイベント企画・出展に携わり、販売の戦略やマーケティングを任せました。また、新入社員が参加する「芋堀り研修」にチャレンジし、県内で当事業に参加している企業と阿波踊りを体験するなど会社の枠を超えて地域で交流することができました。

協働を通じて相互理解が進み
現地工場でマニュアル運用がスタート

Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか？

一番の目的であるベトナム人が考える「ベトナム人スタッフにとって、わかりやすいマニュアル」が完成したことは大きな成果です。インターンに複数の部署を経験してもらうことで、より多くの社員の体験や知見を反映したものが出来上がり、早速ベトナム工場で運用していきます。インターンシップを通じて、ベトナム人にとって「伝わりやすい」もしくは「伝わりにくい」表現や説明を理解することができました。また、ベトナム人スタッフへの効果的な指導・教育法が確立できたことは大きな前進になりました。当社初となる長期の外国人材受入れでしたが、驚いたのは高度人材ならではの行動力と積極性。一つのタスクにも多くの質問を投げかけてくれたおかげで、説明で足りない部分や彼女たちが疑問に思う点を把握できました。受入れ当初は戸惑いもありましたが、お菓子の意見交換をしたり、ベトナム食文化を教えてもらうことで、いつのまにか社内に溶け込んでいました。今回の成果を活かしてこれからも「ジャパンクオリティー、市岡クオリティー」に挑戦しつづけたいと思います。