次世代の生産拠点の候補である東南アジア
インターンを通じて国民性や文化を理解したい

Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。

中外陶園は、やきものの街・愛知県瀬戸市で1952年に創業し、干支や招き猫など縁起物や季節飾りなどを製造する陶磁器工芸メーカーです。現在、日本の多くの伝統産業が担い手の高齢化、後継者不足等の問題に直面していますが、当地域においても同様の問題を抱えています。そこで当社では十数年前から海外進出を果たし、中国に生産拠点を有しています。当面は中国での製造を継続し、今後は新たな生産拠点を増やしていくことが中長期の経営課題に据えています。そこで、生産拠点の候補地である東南アジア地域からインターンを受け入れてその国民性や文化、価値観を知り、当社の求めるものづくりと一致するのか探りたいと考え、この事業に応募しました。当初はミャンマーを第一候補地と考えていたのですが、今回はベトナムからのインターンをご紹介いただき、ベトナムもまたやきものづくりが盛んな国なことから、受け入れを決めました。

瀬戸の陶磁器ものづくりを学び
ベトナムの陶芸との違いや学ぶべき点を探る

Q.どんなインターンシップを行いましたか？

前半は、業務内容や陶磁器の専門用語を学んだ上で工房でやきものづくりを体験してもらい、瀬戸独自の工程を理解してもらいました。さらに地元の博物館にも足を運び、日本と瀬戸の陶磁器文化の歴史を学んでもらいました。社内に向けてはフエンさんからベトナムの文化や国民性、南北での生活スタイルの違いを発表をしてもらい、社員側のベトナム理解を深めました。さらにベトナムの陶芸について日本との違いをレポートにまとめてもらいました。後半からは、品質管理基準、チームによる業務分担やチェック体制など、より専門的な業務や日本流の仕事の進め方を知る機会を設けました。その上でフエンさんからもベトナムの仕事の進め方を教えてもらい、お互いの良いところを取り入れた仕事の進め方についてディスカッションを行いました。最初は英語力に不安もありましたが、フエンさんは日本語を使って質問し、社員側も積極的に英語で話しかけるなど、お互いに相手に合わせたコミュニケーションが実現しました。

日本とベトナムの相互理解が深まり
現地工場視察のアポイントも確定

Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか？

インターンシップ活動を進めていく中で、当初期待していたベトナムと日本の文化の相互理解という目的を超えて、生産拠点のリサーチまで進めてもらうことができました。当社の陶磁器製造の要件を満たせそうなベトナムの工場をリストアップし、訪問のアポイントをとることができました。近々工場を視察する予定で、ベトナムに当社の生産拠点ができる未来が具現化しつつあります。また社内的な成果としては、若手社員の成長が促され、存在感を発揮できるようになったことが挙げられます。インターンのサポート役として、会社や日本文化や地域について伝えていくことで、改めて会社や業界を取り巻く環境について学び、その過程で浮かび上がった疑問も先輩社員に聞くなど積極的な姿勢が生まれました。他の社員もインターンと積極的にコミュニケーションをとろうとする雰囲気が生まれ、週末にはホームステイやたこ焼きパーティに招待したり、京都旅行に連れていくなど、日本の文化や生活を感じられるイベントをオーガナイズしてくれました。