イスラム圏の顧客獲得を目指して
異文化理解を深めてフードバリアを乗り越えたい

Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。

当社は1999年、京都市右京区で健康・社会・環境に配慮した食品及び雑貨の流通を行うべく創業しました。日本のオーガニック市場の伸びは限定的で、韓国、中国、東南アジア、欧州など海外にも展開を広げています。文化、宗教、信条、健康問題を超えて多くの人に喜ばれる製品づくりを目指し、2017年には若者層や海外の新規顧客開拓を目的にビーガンやアレルギーの方のニーズに応えるオリジナルジェラートの製造販売事業を開始しました。そして京都を訪れるイスラム圏の方々にも、当社のジェラートを知ってもらいたいと考え、エジプトからインターンの受け入れをすることにしました。今回の目的は、イスラム圏の方に向けたPR＝パブリックリレーションズのあり方を確立することです。そのためにはまずは異文化理解を深めることが不可欠です。インターンを通して、相互のフードバリアを乗り越えるプロセスを体験したいと考えています。

イスラム圏に向けたPR活動で活躍
店舗のアラビア語対応やSDGs発表など事業拡大にも貢献

Q.どんなインターンシップを行いましたか？

受け入れにあたってはイスラム慣習などの情報収集を行い、活動のWBS（作業分解構成図）を作成。タイムマネジメントやタスクの細分化や優先順位付けを明確し、毎週振り返りの時間を設け、各自の適性や進捗に合わせた活動を進めました。外部との折衝能力に長けているマリアムさんはエジプト大使館との交渉を任せ、面会が実現。マリアムさんの通訳を介し、文化的・経済的交流に向けた話し合いができました。ハディールさんはITに詳しいので、アラビア語でSNSの情報発信を担当。SNSをきっかけに来店されるお客様も増え、味や製品への反応を見ることができました。また、当社のカフェテリアのアラビア語メニュー・パンフレット作成を行ってもらい、エジプト由来の原料を使ったジェラートやエジプト家庭料理の試作も完成しました。2人には清里で開かれた日本SDGsの会議で、当社の取り組みのスピーチもしてもらいました。近日オープンする直営レストランではハラルメニューを導入し、イスラム圏の方が利用できる祈祷部屋も計画中です。

「国境を超えて世界中の人に愛される」ために
イスラム圏とのネットワーク構築と社内の国際化醸成に前進

Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか？

2人の築いたリレーションは、私たちの事業に新しい橋を架けてくれたと感じています。今回インターンと一緒に取り組んだことで、我々と違う価値観や発想に気づくことができました。異文化への敬意、他者への尊重は、サービスビジネスの重要事項であり、事業目的達成のための非常に大切な基盤となります。2人は日本語が流暢だったため、意思疎通はスムーズにできると思い込みがありましたが、文化や習慣の違いから実際伝わっていないことがあり、こちら側から働きかけてきめ細かくフォローすることの大切さを実感しました。こうした経験は、今後の外国人材採用に生かしていきたいと考えています。日本の伝統・文化の素晴らしさをアピールするだけではなく、世界から見て日本がどう映っているのかという視点に関心を寄せ、インターンを通して変わろうとする姿勢こそが企業の国際化を進めると考えています。今回事業の新たな一歩を踏み出すことができ、「国境を越えて世界中の人に愛される」というプレマの企業理念に近づけたかと感じています。