日本の警備業の輸出に向けて
外国人材との協働の知見を構築する

Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。

当社は北海道を起点に、道内、関東に展開している警備会社です。大手企業が機械警備化に進む中、人の目や判断力を必要とする機械ではカバーできない部分を担う高度人材の育成に力を入れています。また、退職された自衛隊員の方を受け入れることで、経験・スキルのある人材を確保するとともに、退職者の再就職先を提供する仕組みをつくっています。近年、海外事業としてベトナムに進出し、2018年にホーチミン支社を立ち上げ、2019年にハノイ支社の立ち上げを準備中です。ベトナムの警備業界は日本に比べて未発展な部分もあり、退役軍人の方が就職先に苦労している現状があります。当社の国内での取り組みをベトナムにも適用することで、ベトナム社会にも貢献できると考えています。今後、ベトナムでの雇用体制を整えていくにあたり、インターンシップを通じてベトナムの方との協働を試み、外国人材受け入れの知見を得るとともに社員の意識改革を図りたいと考え、このプログラムに応募しました。

歴史、警備業の背景、企業理念を学び、ベトナム人に伝わるマニュアルを作成

Q.どんなインターンシップを行いましたか？

当社の一員であるという意識をインターンと社員双方にもってもらうため、入社式を行い、階級章を授与しました。課題として警備教本のベトナム語翻訳をお願いしましたが、警備業の背景、当社の企業理念が伝わる内容にしてもらうため、歴史、企業文化・理念を学ぶ時間を設けました。また、当社社長による合気道の稽古をつけ、日本の心、礼儀作法を学んでもらいました。2人とも熱心に取り組み、合気道5級を取得するまでの腕前になりました。社員側は、べトナム映画鑑賞を課題にするなどベトナムの歴史･背景の理解に努めました。会話はなるべく日本語を用い、取引先に同行した際などは日本語のレポートを書いてもらうなど日本語の習得に取り組んでもらいました。その結果、教本の翻訳では日本語を英訳してからベトナム語に訳す作業だったのが、日本語を習得するにつれて、日本語から直接ベトナム語に訳せるようになったようです。また彼らは英語が堪能でしたので、社員を対象に週1回英会話教室を開いてもらいました。

互いの国の価値観や文化を理解し、外国人材受け入れの指標が確立

Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか？

性別もバックグラウンドも全く異なるベトナム人のインターン2名を受け入れたことで、ベトナムの方の思考パターンや仕事に対する考え方、取り組み方について多角的な知見を得ることができました。ベトナム人は誇り高い民族という印象を持っていましたが、他国の文化を受け入れる度量も併せ持つ民族であるということも、2人を受け入れてわかったことです。各部隊で活動を行ったことで、普段本社にはいない隊員たちとも交流が生まれ、隊員が本社に寄った際には気さくに挨拶を交わすまでになりました。英会話教室はインターン2名が協力して運営し、講師役の彼らが積極的に社員に会話を促してくれたので、交流が深まって活発なクラスになりました。次第にベトナム人の彼らが職場にいることが当たり前で自然な光景になっていきました。向上心が高く斬新な発想も持ち合わせているインターンを受け入れたことで、ベトナム人から見た忌憚のない建設的な意見を取り入れることができ、外国人材を受け入れる際の一つの指標を確立できたと思っています。