高まる医療インバウンド需要
外国人と働く意識を浸透させたい

Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。

当院は予防医療（人間ドック）と最先端医療（がん免疫細胞治療）を提供している医療機関です。創業者から伝わる「医療こそが最高のサービス業」という理念のもと、最善の医療サービスを提供することを第一に邁進してきました。自由診療をメインとした当院が、今後、高齢過疎化が進む奈良という地域で事業を継続していくために、さらなる医療サービスの充実や事業拡大の必要性を感じていました。そこで海外から医療インバウンド受け入れをスタートし、数年前から中国へのサービスを開始しました。また、ベトナム・ハノイ医科大学に免疫細胞治療の技術提供したことをきっかけに現地法人を立上げ、対ベトナムのサービスも始動しています。経営層には、海外での事業展開に向けた意識が根づいていますが、日本のスタッフはまだまだ実感が薄いという現状があり、インターン受け入れを機に外国人と協働する意識を浸透させたいと考えました。

すべての部署をローテーションし、
協働を通じてお互いが学び合う

Q.どんなインターンシップを行いましたか？

インターン自身が将来、日本の企業で働きたいという希望があり、またスタッフの異文化や多様性への理解を深めるために、1週間ごとにすべての部署（営業・受付・看護・事務・臨床検査・放射線科・看護施設見学）をローテーションしてもらいました。各部署での活動に取り組む前後に、インターン目線で感じたことを率直に述べてもらい、業務の改善のヒントにつなげました。また、ベトナムからの医療ツーリズム客の来訪時には、応対や通訳・翻訳、ハノイ法人とのやりとりを行ってもらいました。スタッフの心構えとして必要なのは「外国人と協働することは、自らも学ぶことである」こと。スタッフのベトナム理解を深めるためにベトナム語講座、ベトナム料理案内も開催してもらいました。インターンの健康管理や意思疎通では最初戸惑うこともありましたが、スタッフ全員でフォローし合いながらケアすることで乗り越えました。期間中はベトナムテレビジョンからの取材も受け、とても有意義な活動でした。

ベトナムの医療について議論
進出へのスタッフの意識が高まる

Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか？

当院には中国人の常勤スタッフがおり、ハノイ法人のスタッフ育成のためにベトナム人を短期間受け入れた経緯があるため、スタッフも身構えることなくすんなり受け入れ、インターンからベトナムの文化や価値観を学ぼうという積極的な姿勢が自然と生まれていました。また、全部署ローテーション制でインターンの受け入れを行なったので、ベトナム本格展開に向けた当院の方針の理解浸透につながったと思います。インターンには、日本とベトナムの人間ドックの違い、予防医療や医療に対する考え方の違いなどを調査してもらい、スタッフと議論を交わしました。スタッフがベトナムの医療の現状を知る良い機会となり、「今後ベトナムで人間ドックを行うときの診断項目はどうあるべきか」「ベトナムからの医療ツーリズム客はどうもてなすと喜ばれるか」「院内食の味つけや食材で好まれるのは？」などについて意見を交換し、各自が課題意識を持つことにつながりました。