アジア圏への輸出拡大を見据え、中国のビッグマーケットを目指す

Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。

当社は、明治44年（1911）の創業以来100年以上にわたり北海道を拠点に全国に向けた菓子専門卸売業を営んできました。現在、日本は人口減少が進んでいる影響で、国内市場がどんどん縮小しています。そこで自社製品のアジア圏輸出拡大を目指し、2018年4月に新事業部を東京に開設しました。手始めとして、タイへの納品実績ができましたが、次に目を向けたのが、より市場規模が大きい中国のマーケットです。とはいうものの、当社には中国市場や輸出事情に詳しい社員はおらず、中国進出事業の具体化のめどがまったく立たない状況でした。そんなとき、インターンシップ事業の存在を知りました。中国出身のインターンを受け入れることで、新規事業のヒントや中国市場の知識を得て、中国進出の足がかりにできるのではないかと応募を決めました。

中国の消費者に届く提案を作成し、商談交渉にも積極的に関わる

Q.どんなインターンシップを行いましたか？

インターンには３つの活動をお願いしました。1つめは、中国市場を見据えた商品開発です。インターンは日系の食品業界で約10年の就業経験があるので、中国の消費者のマーケティング調査をしたうえで、プライベートブランド商品のコンセプト案を作成し、社内に提案してもらうことにしました。2つめは、10月の展示会での商談対応です。当日は中国からのバイヤーが多く訪れるので、バイヤーとの商談、商談後のフォローアップをインターンに担当してもらうことにしました。3つめは、中国輸出に関する法規制や商流の調査、SNSを活用したPRの提案です。インターン受け入れでとくに心がけたのは、インターンが発言しやすい環境づくりです。歯に衣を着せない率直な意見を引き出せるように、社員との自由なディスカッションの場をたびたび設けました。インターンが率直な意見を述べることで、社員も発言しやすくなったようで、社内活性化にも効果があったと感じています。

実現可能性の高い提案と情報力で　中国進出への突破口が開けた

Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか？

インターンのおかげで、中国ビジネスに関する膨大な情報と知識を得ることができました。中国の食品業界でキャリアを積んだインターンなので、中国人とのビジネス作法はもちろんのこと、バイヤーへのアプローチ法等、学ぶことばかりでした。そのほかにも、中国では独自のSNSが発達しており、バイヤーとの連絡や商品PRはすべて「WeChat」を介している等々、インターンがいなければ知りえないリアルな情報を得ることができました。また、インターンには調査や提案を適宜に発表してもらいましたが、中国市場に合わせた実現性の高い内容で、インターンの能力の高さには驚きの連続でした。中国進出に向けた部署はできたばかりで、０からのスタートでしたが、インターンのおかげで０を１にすることができ、中国進出への突破口が一気に開けたと感じます。また、社員にとっても優秀な外国人材と働いたことで、さらなるやる気を引き出せたと思います。中国進出に向けて足がかりをつかむことが当初の目標でしたが、社内活性化という成果も得られて非常に満足しています。