外国人客誘致に向けた意識改革と
地域の問題解決の基盤づくり

Q.インターンシップを受け入れようと思ったきっかけを教えてください。

昨今のインバウンド増加に対応できるように準備を進めたいというのが最大の理由です。当社は山口県長門市でホテル・旅館業を営んでいますが、人口減少や少子高齢化による人材不足、さらには日本人客の減少が今後、顕著に出てくることが予想されます。ちょうどアジアから近い日本の西側に位置していることもあり、外国人客誘致に力を入れていくことが今後の課題です。その際、外国人客へのホスピタリティを高めるため、言語対応や宗教や慣習への理解は不可避だと考えております。インターンを受け入れることで、宗教、慣習、価値観、言語などの違いを従業員に体感してもらい、対応力強化に向けた意識改革やチャレンジ精神を醸成していきたいと考えています。また、高度外国人材を迎え入れることで、地域が抱える問題の解決に向けた基盤づくりが進展することを期待して、今回インターンシップ受け入れを決めました。

観光・サービス開発の可能性を外国人客目線から掘り起こす

Q.どんなインターンシップを行いましたか？

日本のホテル・旅館業を知ってもらうために、お客様のご案内から生け花や温泉の番台まで、様々なサービスをOJT形式で体験してもらいました。こうした活動を経て、外国人客の目的やニーズ、人気の高い観光地等のマーケティングリサーチに着手しました。その成果をもとに、当社や長門市が目指すべき観光・サービス開発をともに検証しました。また、公式サイトやパンフレットの翻訳、外国人向けのホテル周辺観光案内の作成にも取りかかり、インターンの発案によるイスラム教やハラルマーケットについてのマニュアルも作成してもらいました。ハラルに関する詳細情報は、当社スタッフのみならず、自治体のインバウンド担当者の知識向上にも役立ちました。今回の受け入れで意識したのは3つ、インターンから見た地域の魅力を発掘してもらうこと、当社が新たに挑戦する事業をともに議論すること、地域の行事や人との出会いの機会を提供することでした。また、インターンの母国とは気候、宗教、慣習の違いが大きいため、生活面でのサポート体制も整えました。

社員の柔軟な対応力を引き出し、今後の事業展開のヒントを得た

Q.受入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか？

インターンのマーケットリサーチから、地域の新たな魅力や日本のホテル・旅館の強みを発見することができました。また、インターン自身の明るく屈託のない人柄が、職場全体、社員全員に良い影響を与えてくれました。社員も考え方や価値観が異なるインターンを受け入れたことで、固定観念や思い込みを外して幅広い視点から発想できるようになり、変化に対する柔軟な対応力が育まれたと感じています。また、環境や文化の異なる日本で懸命に順応しようとするインターンの姿を見て、勇気づけられたスタッフや地域の方も少なくありません。地元のスーパーなどでは地域の人と交流する様子がよく見られ、地域の受け入れ体制づくりにもつながったと思います。インターンは仕事が非常にスピーディで、成果物は毎回こちらの求める以上の内容で、自分で考えて付加価値を付け加えるなどその発想力に驚かされました。インターンから得たアイデアや交流の成果を今後の事業展開や社員育成に生かし、さらに企業として成長していきたいと考えています。