インターンシップの3年後・・・
外国人介護人材を雇用するための環境・体制作り
外国人目線でのマニュアル作成(外国人スタッフ教育マニュアル、事故発生時の対応フローチャートやノロウィルスやインフルエンザのマニュアル)
特別養護老人ホームをメインとし、老人保健施設、在宅サービス、障害者福祉を行っています。規模はさほど大きくはないのですが、現在では20名の外国人介護士が活躍しており、フィリピン・ベトナム・中国・スリランカ・ロシアなど様々な国籍の方が日本人の介護士と共に働いています。
現在、ファムさんには外国人介護士と日本人職員間の通訳業務と当院が受け入れた留学生やEPA介護福祉士候補生の日本語講師をお願いしています。インターン受入れ当初は、会社側の受入れ目的とインターンの意向にミスマッチがありました。当院は介護福祉に興味がある方を想定していましたが、ファムさんは将来日本語の通訳を目指していた為、お互いの溝を埋めるのに苦慮しました。またインターンに来てくれた人を雇用したいという意向があったので、彼女を受入れるメリットを明確にし、本人の意向を確認していきたいと思っていました。結果、日本人とベトナム人の意思や気持ちの伝え方の違いなどもあり、合意に至ったのがインターンの帰国する日、空港に向かう時だったのを覚えています。今、考えるとそういった経験もすべて活かされていると感じています。
文化や風土の異なる外国人職員を受入れるため、日本人職員だけではなく外国人職員同士のコミュニケーションの行き違いも生じます。特に介護の現場だと細かいニュアンスの違いによるトラブルは頻繁に起こります。そのため文化やコミュニケーションの違いを理解した上でお互いの溝を埋めてくれるファムさんは貴重な存在です。インターンシップ時から事務処理能力に長けていたので、スピーディーに職務をこなしてくれて助かっています。彼女が来た当初は外国人介護士2名を受入れるだけで精一杯でしたが、今は様々な国の留学生や介護福祉士を積極的に受入れても大丈夫という自信がつきました。また、彼女が言葉の行き違いによるトラブルの仲裁に入ってくれるため、日本人職員も柔軟に対応できるようになってきました。
日本の医療福祉現場では人材不足が深刻です。一方、外国人労働者を必要としていながらも受入れに保守的であるため、困っている施設や人々へのアプローチが我々の使命だと感じています。近い将来、中国やベトナムといったアジア諸国も高齢化問題が出てくると予想されます。日本で働いている外国人介護福祉士の皆さんには、将来の祖国のために自分たちの経験を生かすお手伝いをしたいと考えています。日本の高齢者を大切にすることが祖国の貢献につながるという意識を持ち、仕事へのやりがいを感じてほしいと思っております。介護福祉現場では様々なトラブルは起こります。外国人と働くことは受入企業の柔軟さも試されます。その国の習慣を伝えたり理解を促すことを「気楽に」「気長に」進めていきたいです。
インターンシップ参加時には介護経験も介護福祉知識もありませんでした。当時は思っていたのと違う受入れ先でミスマッチだと思いましたが、今の仕事につながる有意義な体験ができました。一番印象的だったのは日本人職員が高齢者の方に対してとても大切に接すること。介護現場の通訳は興味深く、変化のある職場なので毎日新しいことが学べて楽しいです。ベトナムでは意見をはっきり伝えますが、日本は違います。直接的に意思を伝えるコミュニケーションが文化の違いを理解するのに大切だと思います。この2年間通訳として働いているうちに、日本人職員もはっきりと意見を伝えるように変わってくれました。また、外国人に日本語を教える仕事も非常にやりがいを感じており、今後は日本語教員の資格を取るのが夢です。