インターンシップの2年後・・・
社内の国際化、ICT技術のボトムアップ
ICT技術を用いた現場管理法の推進
土木建設業会社。映像CIMという現場の施工状況を映像に残し管理する独自の取組みを行っている。
アブダル君には現場で土木の基礎、特に設計に必要な映像解析を学んでもらいながら、新しい技術開発にも力を借りています。また、当社は昨年度から官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)*1のコンソーシアムメンバーに選定されており、彼には、アイトラッキング調査(建設現場等の危険な場所で作業する際に「人がどこを見ているか」を調べる技術)の主担当をお願いしています。協力会社や大学の方との交流を通じて多くを学び、自信もついたようです。さらに、土木学会や報告会での発表、立命館大学のセミナー講師としてアイトラッキング調査の指導も経験してもらいました。この1年の成果を目に見える形として残すという意味もありますが、研究者として育てていきたいという想いがあります。
*1国の産業改革プロジェクト。可児建設は建設業界の生産性改革施策を進める(IT化ICT化)企業に選定された。
2018年度にアブダル君含むインターン2名を受入れた事により、会社全体が若返り、活気づきました。新しい技術の取組みに拍車がかかり、彼らのおかげで写真計測からの3Dモデル化、アイトラッキング調査、ドローンの操作、カメラセッティングなどの内製化も着実に進んでいます。日本の技術を教えるだけではなく、新しい技術を一緒に構築する。彼らのポテンシャルと当社のニーズがマッチしたのだと思います。また、2019年度にインターンを受け入れた際には、彼らにインターンシップ活動のプログラムを作成してもらい、その計画に沿って進めました。後輩インターンへの指導は的確で、最終的に皆さんが入社を希望してくれました。当社としての海外人材の受入れ体制、教育ノウハウも確立できたと思います。
中小企業の技術のボトムアップを進めていきたいです。個々の企業ではICT技術の投資と継続は難しい。連携して、1社あたりの負担を減らすことで継続可能になると思います。もう1つは業界のグローバル化です。CAD、IT技術があり、コミュニケーション能力に優れた海外人材は適応性が高く、建設業界が必要としている人材ですが、言語の壁など、彼らが活躍できる体制は十分に整っていません。業界全体のグローバル化が進めばアブダル君のような優秀な海外人材の活躍の場も広がり、結果的に業界自体の魅力が増すと思うのです。具体的には同業他社のサポート体制の構築、海外人材の教育等も連携して行うことができれば、業界全体の技術のボトムアップと活性化に繋がるのではと考えます。若い人達から見て、面白い、希望をみいだせる業界にしていきたいです。
日本の土木建設企業は、安全性とクオリティを徹底して追求しており、その中でも可児建設は最先端の技術に敏感で社員の教育に投資を惜しまない、チームワークの良い会社だと思います。若手社員の面倒をよくみてくれますし、知識経験を惜しみなく共有してくれます。日本での生活で大変なことは、日本の方はシャイで意図を読み取れない時があること。そして、日本語です。インターン時代から語学学校に通い、少しずつ日本語でコミュニケーションもとれるようになってきました。日本企業が海外展開を進めるには、外国文化に対しオープンになり、多様なグローバル人材を雇用することではないでしょうか。あとは、日本企業が海外展開や海外人材を雇用する場合、アジアに焦点を置きがちですが、個人的にはアフリカの市場もポテンシャルが高いと思っています。